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不動産関連の口コミの中には、建売住宅の販売などで「売主や施工会社を聞いても、不動産会社が教えてくれない」というものがあります。不動産を買う立場の人間が売主や作り手を教えてもらえないことは、あってはならない問題のようにも思えますが、実際に起こっていることのようです。
ではなぜ、不動産会社は売主・施工会社を教えないのか?その理由についてのあるあるを紹介したいと思います。
不動産会社が売主や施工会社を教えない理由として、ネット上では2つの点が指摘されています。順番に見ていきますので、チェックしてみてください。
不動産会社が売主・施工会社を教えない理由の一つは、もし施工会社の名前を教えれば、ユーザーが会社名から検索を行い、当該物件が他の不動産会社からも購入できることがバレてしまう…ということです。
そして、ユーザーが他の不動産会社が提示している条件を比較し、今の不動産会社より安い価格を提示していることを知れば、そのユーザーはそちらで契約したいと考えるようになります。これが困るから教えない…というわけです。
こうした背景があることを考えると、ぼったくり目的の悪徳不動産会社が売主を教えたがらないというのは、十分にうなずける話ではあります。
売主を教えない理由には、売主を知ったお客さんが売主と直接契約してしまうから…という事情があることも指摘されています。
つまり、不動産会社は売主と買い手の間に入って仲介手数料を稼いでいるのに、買い手が直接売主と契約してしまったら、仲介定数料を得ることができず困る!だから売主を教えるわけにはいかない…というわけです。
まことしやかに語られている話ですが、実際のところ、この話にはリアルさがあります。なぜなら、買い手が売主と直接取引をした場合、買い手は物件価格の約3%+消費税=仲介手数料を控除できるからです。そして逆にいうと、不動産会社はそれだけの仲介手数料が得られず損をすることになります。
この仕組みを考えれば、不動産会社が売主を教えないという口コミは説得力を持つことになります。
売主や施工会社を教えないことは、一見すると悪いことのようにも思えますが、必ずしもそうとは言えない事情があることも知っておくといいでしょう。
例えば、建売住宅が得意なパワービルダーは、購入者への直接販売を行わず、不動産仲介会社を通じて販売を行っているケースが少なくありません。なぜそうするかというと、地域の不動産会社に営業を任せてお客さんを見つけてもらうことで、パワービルダー自身は人件費を押さえることができるからです。その代わり、不動産会社は仲介業者として売主と買主の間に入ることを許され、仲介手数料を得ることができます。
そしてこの場合、仮に不動産会社が買主に売主を教えても、売主と直接契約することはできません。なぜなら、売主であるパワービルダーは直接契約の申し出を拒否するからです。パワービルダーは営業の面で不動産会社に依存しており、その貢献もあって住宅を広く販売できているのですから、買主との直接契約を受け入れるはずがないのです。
つまり、売主自身も不動産会社が仲介することを承知しているのであり、買主に売主のことを教えても状況は変わらないという意味で、不動産会社の“教えない”スタンスは必ずしも悪いとは言い切れません。
ユーザーの口コミだけでなく、ネット上で報告されている不動産従事者の体験談や指摘を見ても、不動産会社が売主や施工会社を教えないという話しは、信憑性の高い“あるある”と言えそうです。
“教えない”理由については、本稿で紹介したとおり、「他の不動産会社からも購入できることを知られたくない」「直接売主のところへ行かれたら困る」からです。
一方、パワービルダーなど売主自身が直接販売を拒否するケースもあり、不動産会社に仲介(営業)を任せるスキームの中で販売が行われているという事情もあります。その中においては売主と不動産会社は一蓮托生です。
こうした点を踏まえると、今回の“あるある”については、単なる悪い噂として捉えるだけでなく、構造的な問題が背景にあることにも理解を示しつつ、平衡の取れた見方をする必要があるでしょう。