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不動産業界へのユーザーからの口コミ評判を見ていくと、新築物件の購入を検討する際の申込書に関する書き込みが散見できます。
具体的には、本人がまだ購入の意思を固めていないにも関わらず、業者側がお客さんを急かして申込書を書かせようとしてくる…というものです。
押しの強い営業ならどこの業界でもありますが、とりあえず申込書を書かせる意図はどこにあるのか、またどのような手口や口上が使われるのか、これから新築物件を購入する方は気になるところでしょう。
ここでは、新築物件でとりあえず申込書を書かせる手口の“あるある”な事例を紹介しています。
新築物件でとりあえず申込書を書かせる手口の一つは、迷ってるお客さんに対して営業マンが「物件を止めるために、申請書への記入が必要です」と話しかけることです。物件を止めるというのは、他のお客さんが購入できないようにする措置のことですが、そうするためには、とりあえず申込書への記入が必要だというのです。
口コミを調べていくと、実際にこの手口は使われているようですが、結論からいうと、この手口は適切ではありません。
なぜなら、賃貸とは違い、新築物件の購入では“物件を止める”という概念そのものが通用しないからです。
特定のお客さん一人のために物件を止めることはできず、当該物件がパブリックに公開された状態の中で、各ユーザーは購入するかしないか検討しなければなりません。そして、購入する意思が固まったら申込書を書くという流れになります。
つまり、申込書を書くということは、購入を決めたことになるのです。ですから業者側が申込書を書かせようとする目的は、考える時間を与えることではなく、急いで買わせようとすることにほかなりません。
申込書への記入を促されても、お客さんの中には怪しいと感じて記入を拒否する人もいるはずですが、そういう場合、「心配ありません。申込書を書いても、気が変わったらキャンセルできますから…」と言って安心させる手口もあるようです。
“申込書への記入が最終決定になるわけではない”、“書いても嫌だったらやめればいい”と言いたいわけですが、残念ながらこれも適切な営業ではありません。
なぜなら前項で示した通り、新築物件の申込書を書くということは、物件購入の意思を示したも同然だからです。申込書を書いたら物件が止まることもなく、検討の時間が与えられるのでもなく、ただちに成約に向けた手続きが開始されてしまいます。
契約書にサインをする前であればキャンセル自体はできますが、申込書を書いた後でのキャンセルは現実には相当難しく、営業マンの勢いに押されてそのまま契約成立まで行ってしまうのが関の山です。
また、購入する意思を取り下げるのは、売主の売却活動に悪影響を及ぼします。購入手続きをしている間は他の希望者と交渉ができないため、それだけ売却の機会を逃してしまうからです。そのため、不動産会社から「良く考えてください」と念を押されたのに、"物件を押さえる"ために慌てて申込書を書いてしまい、「申込の順番は交渉権に関係ないので、よく考えて購入してください」と注意を受けたという逆のケースも存在します。
このことからも、申し込みをした手前、その後で「やっぱり買いません」とは言いづらいわけです。
新築物件でとりあえず申込書を書かせようとする不動産会社の“あるある”について事例を紹介しましたが、一般ユーザーとしては、このあるあるに対してどのように対処できるでしょうか。
それはずばり、新築物件での申込書の正しい知識を備えておくことです。
すでに紹介したとおり、新築物件の購入では物件をおさえることはできません。検討して買うか買わないかのどちらかを選ぶしかなく、申込書を書くことで「いったん買い物カゴに入れておく」ということは不可能なのです。
申込書に記入することは、購入の意思が固まったことを意味しており、それを業者側に宣言したことになります。
そして、申込書を書いた後で購入のキャンセルはできますが、営業マンの圧力がすさまじく、また売主にも迷惑をかけるため、現実にはキャンセルするのが難しいという現状があります。
従って、購入する意思が固まっていない場合は、申込書へ記入しないことが大切です。強く勧められても動揺せず、毅然とした態度を示してください。
このように申込書における正しい知識を持っておけば、今回のあるあるにはしっかり対処できるでしょう。